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Report | A’22 – AIA Conference on Architecture, Chicago _IWAHASHI Yuji

A’22 アメリカ建築家協会大会(シカゴ)参加報告_岩橋祐之

Updated: Sep 6, 2022

2022年6月21日~25日にシカゴMcCormick PlaceにてA’22―AIAシカゴ大会がおこなわれ、六鹿正治JIA会長、竹馬大二JIA国際委員長、岩橋祐之JIA国際委員の3名が出席しました。

基調講演にはオバマ前大統領が登壇し、かつてシカゴの住人であり、建築家になりたかったという44代大統領の個人的な建築についての考えを述べるなか、環境問題や社会正義となど、AIAの戦略の優先順位について、AIAの今年の会長との対談となりました。無秩序に広がる都市を抑制し、適度な人口密度とすることで、公共交通・自転車・歩行で移動可能な都市づくりの方法を考えるべきで、低所得者住宅についてはシカゴはあまりよい例ではないとしながら、単に低所得者住宅の供給の資金提供の問題ではなく、法律の問題でもあり、時には低所得者住宅の建設を抑制し、必要だが自分の周りには建設して欲しくないというNIMBY(Not In My Back Yard、必要なのはわかるけど、うちの裏庭ではやめて)的な市民の感情を呼び起こさないことが、良好なコミュニティ形成には時として必要だと述べました。

会期中にはJIA-AIA会議が行われ、JIAからはSDGsの日本における取組状況を説明をしました。
・SDGs建築ガイドブックの発刊(2019)
・JIAマガジンでのシリーズ(2020)
・SDGsフォーラムの開催(2021)
・建築家のSDGsに対する取り組み(マニフェスト)を広く募集し、マニフェストリレー集を発刊(2022)
・2050カーボンニュートラルのウェビナー6回シリーズを開催(2022)
・NIMBY的な社会インフラとして必要不可欠な建築:清掃工場・配送センター・データセンターへの社会との緩和を建築家がデザインで取り組んでいる例を紹介。

毎回恒例の各国の建築家協会の会長が一同に介し、円卓に数人づつ分かれて議論を行うインターナショナル プレジデント フォーラム(IPF:Internatioal Presidents’ Forum)では、各国の思惑が交錯する興味深いやり取りが行われました。
参加国:アフリカ連合/ ヨーロッパ委員会/ アジア委員会/ タイ/ オーストリア/ コスタリカ/ ブラジル/ メキシコ/ パナマ/ 韓国/ 日本/ カナダ/ 英国/ その他米国の5つの関連団体代表

また、AIA名誉フェロー授与式がオーディトリアムビルで行われ、岸和郎氏が選出されました。

世界中の建築家協会を繋ぐ団体がUIAですが、アメリカはあまり積極的に参加しているように見えず、自国の建築家協会の会合であるAIAに各国の会長を招待することで、アメリカを中心とする団体活動を目指しているように見えます。同様にイギリスの建築家協会であるRIBAも3年ほど前のBrexitの時期に合わせてAIAと似たような各国の会長を集めた会合とGAEウェビナー(Global Architecture Exchanges)を今年で3回目となりますが開催しており、やや世界の覇権争いのような傾向が見られます。SDGsはヨーロッパ主導のやや経済的な利権の囲い込みの傾向が見られ、AIAとRIBAともに積極的に参加しているようには見えません。その中で、日本はUIAを重視する姿勢を維持しており、AIAには毎年招待されていますが、RIBAにはこれまでの2回の招待には応じていません。またSDGsに対してもJIAは積極的で、今回のAIA-JIA会議でもSDGsへの取組状況を紹介したり、IPFにおいてもAIAに対してUIAへの寄与を促し、ヨーロッパやカナダの賛同を得た形となりました。今後もJIAとしてはUIA及びSDGsへの積極的な参加を目指すものと考えられます。

(JIA国際委員 岩橋祐之)

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