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Report | Social Event with Indian Urban Leaders _ SANO Yoshihiko

インドの建築家・都市計画家の視察交流イベント 参加報告 / 開催日:2025年5月13日(火)_佐野吉彦

Updated: Jul 8, 2025

インドの建築都市研究シンクタンク「アーバンビジョン」創設者 Prathima Manohar氏が主宰する視察プログラム「Urban Leaders Retreat(インドの行政に建築都市コンサルタントとして従事する建築家、研究者、開発ディベロッパー等の方々)」19名の来日に伴う視察交流イベントが5月13日に開催されました。イベントに参加した佐野吉彦元国際委員長のレポートです。

インドからの訪問団との交流 佐野吉彦

来日された一行はインド西海岸・ムンバイ周辺を拠点とするデベロッパーや建築家をはじめ、まさに都市を魅力的にする専門性を持った皆さんである。JIAからは伊藤友紀、柳澤要、佐野吉彦の3名が参加した。会場はポートシティ竹芝(浜松町)で、このプロジェクトを手掛けた東急不動産が概要と経過をレクチュアし、参加者全員で施設を見学した。この複合型プロジェクトには、スマートシティづくりや豊かな都市景観づくりにおける多様なチャレンジがあり、竹芝エリアマネジメントによる運営にも創意工夫を感じた。

日・印双方の参加者にとっては、それぞれの問題意識からこの地での開発手法を深く知る機会となる。見学後のトークは、カジュアルながら、訪問団と出席した各組織の感想や知見を共有する有意義な時間であった。とりわけ運営管理には高い関心が集まっていたが、かつてこの地域は開発が遅れた場所であったことに話題が移ると、ではそれが現況に転回するきっかけはいつだったかの話になった。私は国鉄の民営化によって汐留用地売却をはじめ湾岸の土地が動いた時期ではないかという話をしたら、彼らは大きな関心を示した。ムンバイにはそのような開発の可能性を宿した場所があるようだ。彼らはインドにおけるTOD(Transit Oriented Development:公共交通指向型開発) のイメージを重ね合わせていたのではないか。

おそらくそれはインドと日本の間にあるアジア諸都市に相通じるテーマなのだろう。各地での都市開発は経済を活性化するものだが、都市に新たな価値と魅力をもたらすかどうかも、共通するポイントである。さて、トークの後の会食は、実にファンキーな空気で満たされていた。多少の失言は笑い飛ばせるところは、西海岸らしいところかもしれない。国際政治の見方については、ひとりひとりの意見は違うようではあるが、日本よりずっと現実的な感覚がありそうだ。それもこの日に学んだ点である。(佐野吉彦/元JIA国際委員長)

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